◇ももこ 締め技地獄 2

「う〜ん……ここは……」
ももこが目を覚ますと、そこはリングの上だった。
「気が付いたみたいね、ももこ」
声がした方に振り向くと、リンコスに着替えたれいこがコーナーに立っていた。
「れいこ!どういう事なの?」
「どういう事って、あなたに本当の締め技を味あわせてあげようかなって思ってね……行くわよ!」
れいこはまだ状況が分かっていないももこに近づくと、その美脚でももこの胴体に挟み込んで締め上げた。
「うぐ!本当の……締め技って……」
ももこは慌ててれいこの足を押えて引き剥がそうとしたが、れいこの足はももこの胴体をガッチリと挟んでおり、引き剥がす事が出来なかった。
「ももこ……先日の試合、ビアンカの首4の字に締め落とされたわね……」
「あ……それは……」
「まあ、それは別にいいわよ。あなた私によく締め落とされてるからね……でも!」
れいこはボディシザースの力を強めた。
「ぐあぁぁ!」
「控室で言ってたわよね……私よりも苦しかったって……」
「あれ……聞いてた……の……」
「ええ。それで、どうやらももこは私の締め技の恐ろしさをよく分かっていないようだから、ここで教えてあげるって訳よ!」
れいこはそう言いながら両手を後ろに付けて腰を浮かし、万力のような力でももこの胴体を締め上げた。
「うわぁぁぁ!!あ……苦しい……」
ももこは胴体を締められ、息が苦しくなった。
ももこはたまらずれいこの足にエルボーを放ったが、ボディシザースは解かれることはなかった。
「無駄な抵抗はやめて、とっとと落ちなさい!」
れいこはボディシザースを掛けたままももこを浮かせ、ヒップから叩き付けた。
「があぁ!」
ももこは叩き付けられた衝撃と締め上げによる苦しさで、抵抗する力を失った。
「さあて、おやすみなさい……」
「あ……」
れいこはボディシザースの力を徐々に強めていった。
そして、ももこの瞳は重たくなっていき、意識を失った。
「まずは胴締めは終わりっと!次はスリーパーね……」
れいこはそう言いながら技を解くとももこの上半身を起こし、頬を叩いて意識を回復させた。
「あ……う……」
そして、完全に意識の回復していないももこの背後に座ると、スリーパーホールドで締め上げた。
「んぐ!」
締められた苦しさから、ももこは意識を完全に取り戻した。
「さあももこ、たっぷりと苦しみなさい!」
れいこは頸動脈からずらし、ももこが落ちないようにコントロールしながら締め上げた。
「あぐく……ぁぁぅ……」
ももこは落ちる事が出来ず、地獄のような苦しみを味わう事になった。
「ほらほら!苦しいでしょ〜?」
「あぁ……ぐえぇ……」
「うふふ……ももこの苦しんでる顔、可愛いわ〜……」
「ひ……あ……」
そして、れいこのスリーパーは約5分続いた。
ももこは完全に抵抗する力を失い、両手をだらしなく伸ばし、ただ息をするだけになっていた。
「もう限界みたいね……じゃあ少し休ませてあげるわ!」
れいこは締める部分を頸動脈の方にずらして、ももこを締め落とす事にした。
「…………」
ももこは再び意識を失い、糸が切れた人形のように動かなくなった。
「少し休んだら、いよいよ本日のメインディッシュを極めてあげるわ……」
れいこはももこを膝枕で寝かせ、意識が回復するのを待った。

「あ……あたしは一体……」
目を覚ましたももこは、自分がれいこに膝枕されている事に気付いた。
「お目覚めかしら、ももこ」
れいこは妖艶な笑みを浮かべてももこを見下ろした。
(ヤバい!逃げないと!)
れいこの笑みを見たももこは何が起こるのか確信し、あわてて逃げようとしたが、連続締め上げで力をほとんど失っていたももこは満足に動く事が出来なかった。
「私の締め技地獄、これがメインディッシュよ!」
れいこはももこの頭を押え、その美脚でももこの首を4の字に絡め取った。
「ぐあぁぁ……」
「さあ、最後は首4の字でたっぷりと締めてあげる♪」
れいこは腰を浮かせて、揺さぶりながらももこを締め上げた。
「ふん!ふん!ふん!」
「あぁ……くぅ……ひっ……」
れいこが体を反らせるたびに、ももこの首に激しい激痛が走った。
「どう!ビアンカとは!比べ物に!ならないでしょ!」
「あ……う……死ぬ……」
れいこの万力のような首4の字の前に、ももこは死の恐怖を感じた。
「死ぬ……そうでしょう♪私の首4の字は完璧だから、下手したら死んじゃうかもね♪」
ももこの死ぬという言葉を聞いたれいこはももこの耳元でそう囁いた。
れいこの言っている事はあながち嘘ではない。
力ではビアンカに劣るが、それでもヒールでは有数の力、樹璃以上のテクニック、そして首4の字でも頸動脈を確実に締める事が出来る美脚と、正に欠点のない首4の字であった。
「いやぁ……外して……」
ももこは涙を流し、れいこに外すよう頼んだ。
「外してと言われて外すヒールはいないわよ。それに殺したりしないから……そのかわり、気のすむまで締めるからね!」
れいこは首4の字の力を調整し、落ちる一歩手前の力でももこを締め上げ続けた。
「あぁぁ……」
ももこは死の恐怖を感じながら、ただ酸欠と首の痛みに耐えるしかなかった。
そして、れいこの締め上げは15分も続き、ももこの顔は完全に真っ青になった。
「あ……」
さらに、ももこの股の部分が濡れ始めていた。
連続の長時間の締め上げに、ももこの括約筋が緩み始めたのだ。
「あらら、お漏らししたの?(どうやら限界のようね)」
れいこはももこの黄色くなった股を見て、ももこが危険な状態である事を感じとった。
「じゃあ、これ外してあげるわ!おやすみなさい!」
れいこは最大の力でももこを締め上げた。
「…………」
ももこの体は痙攣を起こしながら意識を失った。
それと同時に、ももこの股には黄色い水たまりが出来た。
「失禁したのね……まだ漏らしてるわ……」
れいこはももこをシーシーポーズにして、尿を全部出し切るまで抱え上げた。
「ももこ、これでもう私よりも苦しいんなんて言わないわよね……」
そして、ももこが尿を出し切った後、れいこはももこを抱えてリングを後にした。

翌日、ももこは自室のベッドで目を覚ました。
「ここは……あたしの部屋……」
「ももこ!目を覚ましたのね!よかった!」
見舞いに来ていたMIKAはももこが目を覚ましたのを知り、ももこに抱き付いた。
「MIKA……あたしは確か……れいこに締め落とされて……」
「ももこ、あれから色々あったんだよ!」
MIKAはももこに説明した。
道場に戻ったれいこは、オーナーから厳重注意を受けた。
ももこがいない事に気付いたMIKAが樹璃を力ずくで吐かせ、れいこの行動を知り、それをオーナーに言ったのだ。
そして、れいこと樹璃は5日間の謹慎処分となった。
「ま、私はあれでも軽いと思うんだけどね……ももこ、後遺症とかない?」
「大丈夫よ。あたしは丈夫だから!ただ……」
「ただ?」
「眠っている間、死んだお婆ちゃんが川の向こうで手を振っていた夢を見たの」
「それって……臨死体験じゃないの!(れいこ、どんだけ締めたのよ!)」
MIKAはれいこの締め技の恐ろしさを改めて思い知った。

一方、れいこは自室でDVDを見ていた。
「締められている時のももこ、かわいいわ〜♪」
れいこが見ていたのは、ももこが締められている場面だった。
実はあの時、れいこは隠しカメラをリングのあちこちに設置しており、ももこの苦しむ様子を撮影していたのであった。
「フフフ……ももこをああやって締め上げて、締め落としていいのは私だけなのよ……」
れいこはやや異常とも思える言葉を呟きながら、DVDを見続けた。

ちなみに、後日行われたももこVSビアンカの試合では、ももこはビアンカの首4の字に苦しめられたが、なんとかそれを外し、ジャーマンスープレックスでビアンカに勝利した。
「あたしだって、締められっぱなしじゃないわよ!」
ももこはれいこから受けた締め技地獄で、知らず知らずのうちに対処法を会得していたのだ。
(おめでとうももこ……でも、私相手ではそう簡単に外す事が出来ないわよ……ももことの試合が楽しみだわ〜♪)
れいこはももこの試合を見ながらそう思い、舌なめずりをした。

ももこ 締め技地獄おわり

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